デジタル化で先行する人民元。中国は何を狙っているのか。
デジタル人民元への注目が高まっている。世界中で流通するようになれば、ドルの基軸通貨としての地位を奪うのではないか、との懸念も一部に広がっている。2050年の世界でそんな事態が現実になっているだろうか。結論から言えば、それは考えにくい。
中国の中央銀行である中国人民銀行は、アリペイやウィーチャットペイなどのキャッシュレス決済の急速な普及を受け、14年からデジタル通貨の研究を開始した。昨年から、深圳市や蘇州市などで市民参加型のデジタル人民元の配布実験を行うなど、実験の規模と範囲を着実に広げており、22年の冬季北京オリンピックで実験することも明らかにしている。
昨年10月、デジタル人民元を法定通貨とすることを盛り込んだ中国人民銀行法改正案も発表した。中国人民銀行は、現時点で正式発行の時期は決まっておらず、依然実験を重ねる必要があるとするが、早晩、発行に踏み切るとみられる。
ただし、中国人民銀行はデジタル人民元が銀行預金を代替しないよう、保有上限や1件当たりの決済額上限を導入する予定だとしている。中国では、銀行預金を含めた通貨供給量M2に占める現金の比率は、4%弱にしかすぎず、デジタル人民元が代替するのはその部分にすぎない。
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