1991年のソ連崩壊や2008年の世界金融危機、また17年の米トランプ政権誕生などを予言した、ジャック・アタリ氏。欧州を代表する知識人に中国の行方を聞いた。

経済学者・思想家・作家 ジャック・アタリ(Jacques Attali)1943年アルジェリア生まれ。81年仏大統領特別顧問、91年欧州復興開発銀行総裁など要職を歴任。「欧州最高の知性」と称される知識人。著書に『命の経済』『2030年ジャック・アタリの未来予測』など。(AP/アフロ)
[ Point ]
・最大の課題は少子高齢化と資源不足
・共産党の言論統制は技術革新を阻害
・中国を利用しつつ世界の問題の解決を
──中国を取り巻く世界の現状をどのように見ていますか。
中国共産党は創立100周年を迎えた。世界での中国の存在感は高まるばかりだ。しかし、6月中旬に英コーンウォールで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)では中国に強い危機感を示す声明が採択された。中国はこれに強烈な不満をあらわにするなど、中国と世界の溝は深まっている。
この20年間、中国は驚異的な発展を遂げ、国民の生活水準は著しく向上した。分厚い中産階級の形成、貧困層の大幅な削減、インフラの充実(とくに鉄道)などだ。また、人工知能(AI)などの未来を担う分野で活躍する優秀な技術者を輩出している。彼らは、工業、サービス業、運輸業、商業、さらには将来の教育に多大な貢献を果たすだろう。
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