【産業天気図・証券業】昨年度来の活況を受け継ぎ出足好調だが、先行き不透明感強まる

証券各社の2005年3月期業績見通しは、総じて「晴れのちくもり」といった状況だ。
 前期からの相場活況地合いを引き継ぎ、上場証券会社20社の4~6月期決算は、三菱、光世を除く全社が前年同期比で利益を伸ばすという幸先よいスタートを切った。だが、それも束の間。5月以降株式相場が膠着状態に陥ったことで、準大手・中堅証券の中からは月間の黒字確保に汲々とする声も聞かれる。
 株式市況に頼らない経営を旗印に、ITバブル崩壊後の苦しい時期、証券各社はリストラと収益源の多様化に取り組んできた。しかし、日本株の出来高が減少するなか、頼りの外国債券、外国株が不振とあっては打つ手もない。内外の金利情勢、株式市場に不透明感が強まる状況が続けば、準大手・中堅証券を中心に通期業績は前期を割り込む会社が相次ぎそうだ。収益源の多様化が進んで業績安定度が相対的に高い大手証券も、今のところ、収益は横ばい、ないし若干のプラス程度と目されている。

大手証券を個別に見ると、最大手の野村ホールディングは、株式委託手数料や個人向け国債販売などが堅調で、国内営業が業績を牽引しそうだ。法人営業およびトレーディング(グローバルホールセール)は、株式や転換社債などの引き受けやM&A手数料を稼ぐ。企業の投資活動やM&Aの活発化も追い風。アセットマネジメントも業績は上向く公算大。投資持分等の評価に落ち込みがなければ、横ばい以上の利益を稼ぎそうだ。なお、この夏には団塊の世代など向けにファンド・オブ・ファンズの取り扱いを強化しており、窓販ではUFJ信託など専用投信設定に成果を上げるなど、アセットマネジメント関連で前向きな動きが目立つ。
 業界2位の大和証券グループ本社の第1四半期は、仕組み債などの販売が増加し、収益機会が増えた株式トレーディングが稼いだ。営業強化や株債券一体化運営などの組織変更が効果を上げた格好。三井住友銀行との合弁会社である大和証券SMBCは、今年度も銀行との連携強化で引き受け・売り出し業務が順調に推移しそう。ホールセールに比べて業績の勢いがやや見劣りするリテールの大和証券は、ネット取引の情報提供等を拡充、無期限信用を10月に導入するなど新機軸を打ち出しており、成果が注目される。
 また、3位の日興コーディアルグループは、大和とは対照的に、個人・中小法人向けが業績を牽引。長期・国際分散重視のコンサルティングが奏功し、販売手数料や信託報酬が安定して増える公算だ。大法人向けは株式引き受け等で巻き返す。マーチャントバンキングも利益貢献が高まる見通しだ。
 なお、ネット専業で利益首位の松井証券の業績は、今年度も順調に拡大する見通し。松井は「金融収支を加味すれば、東証の1日平均売買代金が3000億円でも利益が出る」と豪語しており、相場低迷に対する抵抗力は強い。相場が大幅に低迷しない限り、連続最高益を更新し、大幅増配の公算だ。
【水落隆博記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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