有料会員限定

全国一斉休校の深い爪痕 悪影響は卒業後も続く

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 最新
拡大
縮小

首相の要請で、3月に突如始まった全国一斉休校。臨時休校の悪影響は、子どもの将来賃金まで及びうるという。

週刊東洋経済 2020年7/18号
書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

特集「コロナ徹底検証」の他の記事を読む

3〜5月の約3カ月間、新型コロナの感染拡大を防ぐために全国の小・中・高が臨時休校を余儀なくされた。4月下旬時点で、その割合は9割超に及んだ。6月頭にはほとんどの学校が再開したが、長期にわたる休校の「負の影響」が懸念されている。

経済学では、降雪などの天候要因、教員のストライキ、狙撃事件などによる臨時休校の影響を過去にも分析してきた。こうした研究の結果は一貫している。臨時休校の悪影響は、決して小さくないということを示している。

子どもの将来賃金に影

その一例が、アルゼンチンの小学校で発生した教員ストライキの影響に関する研究だ。この研究によれば、10日間の休校が実施されると、休校なしの場合と比べて高校を卒業できない人が1000人中28人、大学など高等教育を修了できない人は15人増加することがわかった。これを2019年度の日本の高校生(320万人)と大学生(250万人)に置き換えると、高校を卒業できない人が約9万人、大学を卒業できない人が約4万人増えることになる。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
コロナ徹底検証
インタビュー/北海道大学大学院教授 西浦 博
国益を懸けた開発競争
PCR検査の拡充と新手法の開発
世界エイズ・結核・マラリア対策基金 局長 國井 修
感染爆発の米国、ブラジル
慶応大学医学部教授 宮田裕章
「接触確認」の可能性と限界
水際対策の難しい舵取り
Part3 第2波に備える、往来再開が「第2波」の引き金に?
国際医療福祉大学医学部教授 和田耕治
国立国際医療研究センター 国際感染症センター長 大曲貴夫
“命の砦"で何が起きていたのか
見逃されたコロナ関連死
「教訓」生きず、PCR目詰まり
神戸大学大学院 教授 岩田健太郎
なぜ死者数が少なかったのか
Part2 第1波を検証、“日本勝利"のミステリー
悪影響は卒業後も続く
重要情報がわからず検証不可能
リスクに見合った賢い対策を
コロナ禍を克服できるか
「自粛過剰」批判は妥当か
Part1 政策の功罪、8割削減にバッシングの嵐
「42万人死亡」は過大だった?
コロナ徹底検証
「日本モデル」は第2波に耐えられるか
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内