厚生労働省クラスター対策班(疫学データ班)メンバーの北海道大学の西浦博教授。「8割おじさん」は、新型コロナウイルス感染拡大の第2波への備えとは別に、長期的な社会政策の見直しも始めるべきと考えている。その真意を聞いた。
──新型コロナの流行を受けて、自身の意識が変わったとか。
今回は幸いにして、人類の大多数が死亡するような致死率が高いものではなかった。だが、もっと毒力の高いウイルスがいつ出てくるかわからないことに、われわれは真摯に向き合う必要がある。原子力発電所は、事故がありうることを想定せずに安全だと考えられてきたが、福島の経験でひっくり返された。新型コロナもある程度ノーマークに近かった。科学者として暗に信じていたことが覆された。
──どういうことですか。
これまで厚労省の感染症対策に関係してきたが、日本中の病院から患者があふれるようなウイルスは想定したことがなかった。厚労省は「これくらい病床が必要になるので用意してください」と都道府県に通知する立場だが、「対応しきれないくらいの感染者数が想定されるが、あなたの県では何をしても病床が足りないでしょう」では、行動を促す通知の意味をなさない。だから、病院からあふれるほどのウイルスは暗に想定しないようにしていた。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら