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「行政とIT企業が連携しビッグデータを活用せよ」 慶応大学医学部教授 宮田裕章

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週刊東洋経済 2020年7/18号
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限られた陽性者のデータだけでは、感染が拡大した際の対応が難しくなる。陽性者以外の健康状態に関するデータも必要だと考え、厚生労働省のクラスター対策班とも話し、LINEの全国調査を4月初めから実施した。有償の委託となると手続きに何カ月もかかるため、LINEは無償でシステムを提供してくれた。

みやた・ひろあき 2003年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。厚生労働省のIT、AI(人工知能)活用推進の懇談会などでの委員経験多数。さまざまな分野でデータを活用した社会変革を実践。

この調査でわかったのは、職種など働き方によって発熱者の多寡が分かれたということ。飲食店勤務や外回り営業の人の発熱者が、そうでない人に比べて2〜3倍多かった。

米グーグルがユーザーの位置情報を匿名化して発表している人の移動データによれば、3月末の外出自粛要請が出るまで、繁華街での人出は減らなかった。感染拡大は繁華街の動きと連動している。状況の把握には多角的なデータが必要だ。

感染症は、働き方によっては頑張れば頑張るほど広がってしまう。一方でデータを見ていると、飲食店などを休業させたりせずとも、対策をしていれば感染拡大を防げることがわかってきた。

防御行動として大事なのは「持ち込まない」「うつさない」「広げない」という3点だ。前の2つは、症状がある人は働かない、登校しない、検温をしっかりする。マスクを着用し、社会的距離を取ることの有用性も世界で示された。

一方で無症状感染者が一定割合存在することから、対策を行ったとしても感染を完全に防ぐのは困難なこともわかった。ここで重要なのが「広げない」対策であり、発生源からの経路追跡がある。保健所は4月の初めまでそれを紙とファクスで行い、作業が追いつかなくなった。その後、厚労省が管理システムを導入したので、早い段階での普及を期待する。

また東京都や神奈川県などでは、3密が想定される場所に入る際に、LINEでQRコードを読み取り、その場所で陽性者が出た場合に通知する仕組みを入れた。スマートフォンを持っていない人にも名簿記入などで対応すれば、より有効な対策になる。

アプリのメリット明確に

接触確認アプリが注目を集めているが、効果の発揮には普及が必要であり、現時点では即戦力ではない。ただソフトウェアなので日を追って改善は進んでいく。さらに、例えばアプリで接触通知が来た人は優先的にPCR検査を受けられるようにするなどの仕組みがあれば、ダウンロードするメリットが明確になる。

今後は接触確認機能がOS(基本ソフト)に組み込まれる予定で、アプリを入れる必要がなくなる。そうなれば一気に普及し、十分な効果を発揮できるだろう。

データの取り扱いにも注意が必要だ。前出のLINEの全国調査では、新たに集めたデータの用途を判断するのは厚労省であり、LINEはデータ収集を支援する立場に徹し、データを営利目的に使うことはできない仕組みだった。民間企業と行政が協定を結び、利用目的を規定することが重要。行政側は社会のために何がどう使われているかを示し、人々の信頼を得る努力をしなければならない。

(構成 中川雅博)

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