限られた陽性者のデータだけでは、感染が拡大した際の対応が難しくなる。陽性者以外の健康状態に関するデータも必要だと考え、厚生労働省のクラスター対策班とも話し、LINEの全国調査を4月初めから実施した。有償の委託となると手続きに何カ月もかかるため、LINEは無償でシステムを提供してくれた。
この調査でわかったのは、職種など働き方によって発熱者の多寡が分かれたということ。飲食店勤務や外回り営業の人の発熱者が、そうでない人に比べて2〜3倍多かった。
米グーグルがユーザーの位置情報を匿名化して発表している人の移動データによれば、3月末の外出自粛要請が出るまで、繁華街での人出は減らなかった。感染拡大は繁華街の動きと連動している。状況の把握には多角的なデータが必要だ。
感染症は、働き方によっては頑張れば頑張るほど広がってしまう。一方でデータを見ていると、飲食店などを休業させたりせずとも、対策をしていれば感染拡大を防げることがわかってきた。
防御行動として大事なのは「持ち込まない」「うつさない」「広げない」という3点だ。前の2つは、症状がある人は働かない、登校しない、検温をしっかりする。マスクを着用し、社会的距離を取ることの有用性も世界で示された。
一方で無症状感染者が一定割合存在することから、対策を行ったとしても感染を完全に防ぐのは困難なこともわかった。ここで重要なのが「広げない」対策であり、発生源からの経路追跡がある。保健所は4月の初めまでそれを紙とファクスで行い、作業が追いつかなくなった。その後、厚労省が管理システムを導入したので、早い段階での普及を期待する。
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