短期出張者向けに「隔離期間免除」の枠組みを導入したが、検査の体制づくりはこれからだ。
「患者さん1名、付き添い1名がこれから向かいます」。6月下旬の夕方。成田空港第2ターミナルに設けられた検疫所には、所内の放送を受けて緊張が走った。米国・ダラスからの到着便で、新型コロナウイルス感染の疑いがある体調不良の乗客が発生したのだ。
しばらくすると、誰もいない連絡通路を通って車いすに乗せられた患者が検疫所にやってきた。日本人とみられ、ぐったりしている。青いガウンを着た検疫官の医師らに囲まれて健康状態などを書類に記入した後、簡易的に設けられたブースに移動し、PCR検査を受けた。終了後は、ほかの乗客とは分けられた部屋に移動し、検査結果を待つことになる。
海外から新型コロナが持ち込まれるリスクを低減するために強化されているのが、こうした水際対策だ。この“防波堤”をめぐり、海外との一部往来再開が目前に迫る中で政府は難しい判断を迫られる。
空港検疫で再び陽性者増
日本における新型コロナの水際対策は、入国制限、空港検疫、自己隔離の3つ。7月6日時点で日本が入国拒否の対象に指定しているのは世界の国の7割弱に当たる129カ国で、3月末には欧州の主要国、4月初めに米国、中国全土などを対象にした。結果、2019年12月に406万人いた入国者は、5月に1万人まで減った。
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