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地銀「投げ売り」の波紋、REIT暴落後の二極化 REITの価格が3月の暴落後、なかなか戻らない

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増資も難航し、成長戦略を描きにくくなっている。

(Graphs/PIXTA)

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東証REIT(不動産投資信託)指数は春先に暴落し、年初比ほぼ半減まで落ち込んだ。その後は値を戻したものの年初比8割前後にとどまり、コロナ禍前の水準に届く兆しは見えない。日経平均株価が年初水準に戻したのと比べて戻りが鈍い。

3月のREIT指数急落の背景には、地方銀行によるパニック売りがある。日本銀行を除く銀行全体では3月に777億円という大幅な売り越しを記録した(東証、日銀資料より)。「売り越しの大半は地銀だった」(市場関係者)。価格下落による評価損を嫌った投げ売りに加え、融資など他部門の業績悪化をREITの含み益実現で補おうとした地銀が少なからずあった。

みずほ証券の大畠陽介シニアアナリストは、「REITがこれまで好調だったのは、地銀の存在があったから。しばらくは戻ってこないだろう」とみる。4月以降も銀行はわずかながら売りが優勢だ。

優勝劣敗くっきり

地銀の下支えがなくなったREIT市場において5月下旬、「下克上」が起きた。REITの時価総額は三井不動産がスポンサーの日本ビルファンド投資法人が首位、三菱地所と三井物産がスポンサーのジャパンリアルエステイト投資法人(JRE)が2位という状況が長らく続いていた。そのJREの時価総額を、物流施設を中心に運用する日本プロロジスリート投資法人が抜いたのだ。現在は再びJREがプロロジスを上回っているが、コロナ禍で投資家の選好が変わったことを象徴する出来事だ。

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