準大手ゼネコンの前田建設工業は、建設分野の「請負事業」と、道路などインフラ施設の運営を受託する「脱請負事業」の2つを融合させた総合インフラサービス企業への転換を模索する。コロナ禍後、建設業のビジネスモデルはどう変わるかを聞いた。
──ゼネコン各社で工事の中断が相次ぎました。
最初にコロナの騒ぎが起きたとき、僕は「焦点は契約書だ」と直感した。感染拡大防止のために工事を中断した場合、誰の責任になるのか、契約書では明確になっていないからだ。
契約書に書いてないから工事を中断したときの費用を発注者が負担する必要はない。ゼネコン側は、自社で費用負担できるところまでしか工事を中断しない。ゴールデンウィーク明けに多くのゼネコンが工事を再開したのは、コストを負担できないからだろう。
今回露呈したのは、(工事契約の定型である)民間連合協定約款や国土交通省の建設工事標準約款において、疫病に関する「逸失利益」と「不可抗力」の内容が明確になっていないということだ。発注者側が負担する逸失利益は、台風や地震などで実際に壊れた物損だけが対象で、請負側が契約する損害保険も同様だ。
現在の約款や契約書は日本的な信用に基づいて、「何か起きたら協議しましょう」と書いてある。だから誰も契約書で仕事をしてないし、契約書には品質と工期とお金以外は何も書いてないに等しい。
だが、それではグローバルな競争に勝ち残れない。当社がコンセッション(公共施設運営受託、いわゆる民営化)で運営する愛知県の有料道路や国際展示場の契約書では、逸失利益は物損以外も協議の対象に含まれる扱いにしている。不可抗力の項目には疫病も入っている。契約期間が数十年にわたることや、グローバルな投資家(の出資)を想定しているので、明確にしなければならないからだ。
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