過剰投資とインセンティブ、日産はなぜ転落したのか 15|自動車決算

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北米では値引きしないと売れない日産のクルマ。世界中に広げた戦線も重荷だ。

近年の日産自動車は生産体制の拡大を優先して、新車開発費は抑え気味だった(写真は新型スカイライン)

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[ 販売費用 ]

自動車メーカーが販売店に支払う販売奨励金(インセンティブ)が代表的。損益計算書では販売費および一般管理費に含まれる。販売店はこれを原資に値引きする

企業統治と経営体制をめぐる混乱が続く日産自動車だが、ここにきて“稼ぐ力”の衰えがより深刻になっている。

本業で稼いだ利益を表す営業利益は2019年3月期に前期比44%減の3182億円となった。20年3月期も減益が続き、営業利益率は2%程度と、リーマンショックが襲った09年3月期以来の低水準となる見込みだ。

裏目に出た拠点拡大

その原因の1つには、過去10年近くにわたって進めてきた、新興国への過剰投資がある。

かつて日産は世界シェア8%を目標にして、生産能力の拡大を推し進めていた。新興国を成長エンジンに据え、15年3月期にはインドネシアやブラジルなどで、一挙に4工場を稼働させた。

結果、日産のバランスシートは、膨れた。建物や生産設備など長期目的で保有する有形固定資産の金額は、12年3月期末3.7兆円だったが、以後急激に増加。19年3月期末には5兆3000億円まで上昇した。

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