会計の本なのに数字の話はいっさい出ず、読みやすいと評価が高い『会計の世界史』。人々の喜怒哀楽や欲望の中、いかに今日の会計ができあがったのか、物語のように描かれている。登場人物も画家や発明家、政治家などさまざまだ。著書の田中靖浩氏に本書の狙いを聞いた。
──「簿記の原型はイタリアで生まれた」とありますが。
イタリアで簿記や銀行が生まれたと聞いて、びっくりする人が多いと思う。今では財政悪化でEU(欧州連合)のお荷物なのだから。
中世のころ地中海貿易では、儲けた商人がイタリアに多かった。商人は道中でつねに狙われる危険にさらされ、これを見た銀行が商人に為替手形取引の提供を始めた。ある銀行支店で発行した為替手形が国境を越えたり、別の通貨で引き落とされたりする。
こうして銀行の拠点商売が発展していく中で、組織全体を統合した取引記録が必要になっていった。商人側も商売拡大に伴って、記録をつけるようになり、イタリアで簿記の原型が生まれた。
──「自分のため」に行った会計がだんだん「他人のため」の会計になっていったと。
1人ではなく、仕事仲間と共同出資する商売が広がっていき、その後さらに商売には携わらないがお金だけは出す資金提供者、つまり株主が出てきた。1602年にオランダで設立された貿易企業「東インド会社」は世界初の株式会社とされる。
当時は海の上で他国、ライバルと会うと、大砲をぶっ放して相手を沈めろという時代。東インド会社は大砲搭載の大型船で大船団を組んだり、航海先にも港を造ったりと、巨額の資金が必要だった。
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