エーザイでCFO(最高財務責任者)を務めながら、早稲田大学大学院でファイナンス理論を教える理論家が柳良平氏だ。UBS証券時代から、外国人投資家と3000回以上もミーティングし、外国人の考え方にも精通する。柳氏に日本企業の価値を高める方策を尋ねた。
──日本企業の株価は保有資産の割に低めです。向上させるために何が必要ですか。
ざっくりいって日本企業のPBR(株価純資産倍率)は1倍程度。英国では2倍程度、米国では3倍程度で、PBRが1倍ということは、純資産以外の価値がまるで評価されていないことになる。
日本企業が低く評価されている現状を変えるには2つのカギがある。1つはROE(自己資本利益率)の向上、もう1つはESG(環境・社会・企業統治)の強化だ。
私は一橋大学大学院の伊藤邦雄教授(当時)が2014年8月に取りまとめた「伊藤レポート」の議論に参画した。伊藤レポートでは「最低限8%を上回るROEを達成する」ことが提言されている。
外国人投資家に対し、日本企業に求めるROEの水準を調査したところ、回答の平均値は8%だった。PBRを縦軸、予想ROEを横軸に日本企業をグラフ化すると、ROE8%以下はPBR1倍近辺でグラフは横ばい。しかし8%を超えるとグラフの傾きが急になる。ROEを高めることが価値向上につながる。
──ROEを高めるには具体的に何をすればいいですか。
日本企業では株主への説明責任が軽んじられ、ROEや資本コストを意識する必要がなかった。だから経営者は利益を内部留保として蓄積してきた。積み上がった巨額の内部留保が日本企業のROE向上の妨げとなっている。
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