基地局の設置にグループの有力人材を動員。それでも整備計画の遅れは深刻だ。
今年10月の携帯キャリア事業開始を目指していた楽天モバイルが、出だしからつまずいている。通信設備の準備の遅れが響き、同月半ばに開始したのは5000人を対象にした無料モニタリングだけ。本格的な事業開始は来春までずれ込む可能性がある。いったい、何が起こっているのか。
楽天市場のトップを派遣
「店舗様がお持ちの建物、倉庫、駐車場など、設置可能な候補地のご紹介をいただきたく、以下アンケートにご協力いただけますと幸いです」
ECモール「楽天市場」に出店する経営者らに楽天から一斉メールが届いたのは、2018年11月のことだった。出店者の事務所や店などの建物に携帯電話の基地局を設置するよう依頼するものだったが、事前に建物の高さや障害物の有無などで選別することもなく、通信業界では異例のことだ。このメールを受信したある出店者は「店舗専用のシステムにログインしても頻繁に基地局設置の勧誘があるので、必死さが伝わってきた」と語る。
楽天が市場の出店者にメールを送ったのと同じタイミングで、社内では「アポロ計画」と称する基地局設置の専門プロジェクトが立ち上げられていた。そこに営業要員としてかき集められたのは、楽天市場や金融事業などさまざまな部署に属する100人以上。プロジェクトのメンバーは市場の出店者に加え、首都圏を中心とした一戸建てのオーナーやマンションの管理組合などに対する基地局設置の営業を担当。基地局を設置した後、光ファイバーの公衆回線網と基地局をつなぎ電波を通す作業の手配なども行っているという。
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