C-2輸送機の輸出構想は、「画に描いた餅」

事実を踏まえない空虚な政策は止めるべき

2010年に初飛行を行ったC-2輸送機の初号機(写真:航空自衛隊岐阜基地)

現在、航空自衛隊は国産機として現在使用しているC-1輸送機(川崎重工業)の後継である「C-2輸送機」を開発中だ。ただし相次ぐ不具合の発生により、その実用化は大きく遅れており、調達予定単価も大きく高騰している。

そんな中で、政府はC-2を民間用輸送機へと転用し、海外の航空市場で売ろうと画策している。政府の予算によって日本航空機開発協会が海外マーケットの調査を実施。その調査結果によると、2026年までにロシアなどのCISや中国を除くマーケットで現用の旧ソ連製アントノフ-124、イリューシン-76、ロッキード社製のL-100などの機体の後継機が230機ほど必要となり、そこには大きなマーケットが存在すると報告している。

これらの機体は、いずれも後方にランプドアを有しており、通常の航空コンテナだけではなく、ヘリコプターや航空機のエンジン、美術品など、大型貨物を搭載できる。同様の能力を持っているC-2の民間転用機は、充分に海外マーケットで戦えるというのがレポートの趣旨だ。

日本のマスメディアも、あたかもC-2輸送機の輸出プロジェクトは有望であるかのような報道をしている。2015年に入ってからも、おそらくこうした防衛産業の輸出に関する、未来への希望に満ちた報道が次々に表れるはずだ。だが、賢明な読者はそうした報道を鵜呑みにしないでほしい。C-2輸送機の輸出構想の実態を見ていくことで、日本の防衛産業の非常識ぶりを明らかにしていく。

耐空証明を取ることができるか

まず、踏まえなければならないのは輸出をするための規制をクリアできるかどうか、だ。民間市場で売るならば欧米の耐空証明を取る必要がある。

このためエアバスはC-2とほぼ同じサイズの新型輸送機A400Mの開発にあたっては開発と平行して耐空証明をとる作業も行ってきた。耐空証明を取るためには巨額の費用と多くの試験が必要であり、開発と同時に耐空証明取得の作業を行うのはコストを削減するためだ。

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