親の自尊心を大事にしつつ、返納させる技とは。
高齢ドライバーによる事故の悲劇は、自動運転の技術開発によって将来は解決されるのかもしれない。だが人間が運転に関与しないレベルに至るまでには、時間を要することが推測される。
介護現場を取材している筆者のもとには「免許返納を促す方法」についてメディアからのコメント依頼が相次いでいる。この問いに対し、自らの経験やほかの家庭での実例を踏まえ意見を述べてきた。本稿においても試みたい。
高齢者と接する機会が多い筆者は高齢ドライバーによる事故の一因として、加齢によるパーソナリティーの変化に注目している。
大阪大学大学院人間科学研究科による、主観年齢(自分が実感する年齢)と暦年齢とのズレに関する調査がある。それによると、40代では暦年齢より4〜5歳若いと感じているが、50〜60代では6歳、70〜80代では6〜7歳若いと感じており、その差が大きくなることがわかった。
つまり高齢になるほど「自分は若い」と感じるのだ。免許に関しても「まだ返納を考える段階にはない」と感じる人が多いのだろう。それだけに、「もう年だから」という説得は簡単ではない。
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