事実上の移民受け入れとなる今回の在留資格新設。不安が高まる日本人の賃金や社会保障への影響を解説する。
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Q1. 日本人の賃金はどうなる?
入国管理法の改正で2019年4月に新設される在留資格「特定技能」。外国人の単純労働者を大規模に受け入れることで、日本人労働者の賃金の低下が起きかねないと指摘されるが、はたしてどうなのか。
特定技能の外国人に支払われる賃金は、政府により「同一業務に従事する日本人と同等以上」が求められている。ただ、そもそも比較対象となる日本人の賃金水準がはっきりしない。
「特定技能の賃金は月16万円程度になるのでは」と語るのは、外国人労働問題に詳しい愛知県労働組合総連合の榑松(くれまつ)佐一議長だ。
特定技能より日本語のスキルなどが少し落ちる位置づけの外国人技能実習制度では、最低賃金の月14万円程度が相場だ。一方、母国の大卒レベルで日本の製造業で働くことができる在留資格「技術」では、「月18万円、ボーナスなしが『日本人と同等』の事実上の最低基準となっている」と榑松氏。
特定技能はその中間を取って月16万円程度とみるわけだが、これは年収にして200万円以下と日本人の非正規労働者と同等の水準だ。このため、非正規労働者の市場では外国人労働力の供給拡大で今までより賃上げが停滞しそうだ。
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