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拙速すぎる入管法改正 真の狙いは改憲と参院選 経済界と安倍支持層を留め置くための弥縫策

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議論が不十分との反発を押しのけ、改正入管法は強行採決された(時事)

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入管法改正案が国会で審議されていた2018年秋、ある自民党幹部が永田町の党本部からハイヤーに乗り首相官邸前を横切ろうとしたときだった。

「何だこれは」

旭日旗を掲げた人々が官邸前で安倍政権批判のデモを展開している。「安倍人気を下支えしてきた層が反旗を翻した。参院選は大丈夫か。悪夢のシナリオが浮かんでしまった」(自民党幹部)。

外国人労働者を広く受け入れるこの法案について野党は、「制度設計があやふやだ」と繰り返し批判してきた。確かに国会審議を経ても、なお受け入れ人数の上限や単純労働の定義はあやふやさが目立つ。何のためか──。

18年2月の経済財政諮問会議。ここで安倍晋三首相は「移民政策を取る考えはない」と前置きしたうえで、「専門的・技術的な外国人受け入れの制度のあり方について早急に検討する」と初めて表明した。

直後から内閣府で「専門的・技術的分野における外国人材の受入れに関するタスクフォース」が始まった。主導したのは菅義偉官房長官の信頼が厚い内閣府政策統括官の新原浩朗氏(当時。現在は経済産業省経済産業政策局長)、そして菅氏が目をかけハッパをかけてきた法務省大臣官房審議官(入国管理局担当)の佐々木聖子氏だ。

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