国際貢献建前に人権侵害
「日本は経済の発展したすばらしい国だと思っていたのに、今は失望感でいっぱいだ」
中国から技能実習生として来日した黄世護(こうせいご)さん(26)は、保護されている岐阜県内のシェルター内で、うつむき加減でそう話し始めた。黄さんは本国で日本語学校に通って学ぶ中で、日本の外国人技能実習制度の存在を知った。日本語を学べ、お金も稼げると聞き来日した。本国の送り出し機関に支払った費用は約50万円。自らの収入1年半分に相当する額を、友人から借金してかき集めた。
来日から半年過ぎた2016年夏、黄さんは実習先の段ボール工場での作業中、大型加工機に右手を挟まれ、3本の指を損傷した。2カ月間の入院生活で皮膚移植などの手術を8回も繰り返したが、結局右手が元のように動くようにはならなかった。
退院後、日本側の受け入れ機関(監理団体)である協同組合が黄さんに求めたのは、「確認書」への署名だった。雇用契約は終了し、治療終了後は速やかに帰国することなど、労災保険給付以外は一切の補償を求めないという内容だ。「言うとおりにしないと犯罪になるなどと脅され、無理やりサインさせられそうになった」と、黄さんは振り返る。
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