研究開発が加速する非薬物療法。効果の検証も徐々に進む。
エレベーターの扉が開くと、大声で笑う高齢者たちがぞろぞろ出てくる。
そこは認知症専門の「メモリークリニックとりで」(茨城県取手市)が入居するビル。出てきたのはちょうどデイケアを終えた集団だった。生き生きとしたその表情と声は、部活動後の生徒のようだ。
同施設には、物忘れを周囲に指摘された人、認知症予防に関心がある人などさまざまな人々が通う。広い敷地内では最大50人が、認知機能を上げるとされる運動、音楽、美術、認知トレーニングにいそしむ。種目によっては、本部のある東京・御茶ノ水から映像が配信され、トレーニングを受ける。
製薬大手が多額の資金を投じても画期的新薬が登場しない抗認知症薬。一方で国内の認知症の人は今後も増え続けて2025年には700万人を超えるともいわれる。
そこで医療や介護の現場では、認知症による症状を何とか緩和しようと、非薬物療法の手法が取られている。下表に示したのは、主な非薬物療法だ。動かなければ体が衰えるように、脳も使用しないでいるとうつ状態やせん妄などを引き起こすことがあるという。
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