有料会員限定

道険し認知症の根治薬開発 »»PART1 治療と予防の最前線

✎ 1〜 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21
拡大
縮小

開発期待の根治薬は世界中で失敗続き。既存薬もフランスで保険適用外となるなど逆風が強まる。

フランスの「支払い停止」は各国に衝撃を与え、薬物療法を検証する機運を高めている

特集「認知症とつき合う」の他の記事を読む

発症した本人のみならず、家族の負担も大きい「アルツハイマー型認知症」(AD)。高齢化社会に突き進む中、世界の認知症人数は約4680万人(2015年)が、50年に約1億3150万人まで増加の見込み。治療や介護にかかるコストは、今年中に1兆ドル(約112兆円)を超えるともみられており、100兆円弱である日本の一般会計予算年額を上回る。

物事をすぐに忘れる記憶障害、自分の居場所がわからない中での徘徊(はいかい)、場合によっては家族や他人への暴言や暴力など、その症状はさまざまだ。家族やコミュニティによる介護などが必須となり、社会的・経済的な負担は甚大だ。

そんな中、ADの治療を考えるうえで、世界中に波紋を投げかける決定がフランスで下された。日本などでは限られた治療法の中で重要な位置づけにある「医薬品」を公的医療保険の対象から除外すると打ち出したのだ。

日本でも使用される薬に「効果不十分」の烙印

「AD治療薬の医療上の利益は公的保険下で使用するには不十分」。今年6月、健康保険を担当するフランス保健省は、こんなタイトルを冠した2ページの文書を発表した。内容は至ってシンプル。AD治療薬4製品とそのジェネリック(後発品)は、「有効性が低い」にもかかわらず胃腸や心血管、精神神経の障害などの副作用が生じるリスクがあるため、8月1日から公的保険による支払い(保険償還)を停止する、というものだ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
認知症とつき合う
鉄道から自動車まで
専用保険が続々登場
何とかなる、という甘えは捨てよ
独自集計
Interview|名古屋フォレストクリニック 院長 河野和彦
2017年は約10万人が介護離職
認知症は要介護の主要因
「自由に徘徊できる街」目指し14年
Interview|おれんじドア 代表 丹野智文
»»PART2 認知症の人を支える
「認知症は学習療法で予防・改善できる」
Interview|東北大学教授 川島隆太
「本人」も共同研究者に
地域との一体化が進む
認知症になるのは特別なことではない
発症リスクは低減できる
早期発見技術は日進月歩
医療・産業が積極投資
欧米メガファーマの開発は失敗続出
»»PART1 治療と予防の最前線
Q&Aで解説
最新治療から生活費まで徹底ガイド
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内