保険契約をめぐる高齢者とのトラブルが絶えないのはなぜか。初期費用の大きい貯蓄性保険は資産運用に向いているのか。公的医療制度が充実しているのに医療保険やがん保険は必要なのか。先進医療特約がもたらす悲劇とは。営業トークの裏に隠された真相を暴く。
「保険料は年1回の支払いで1回100万円。2年経ったら解約してもらって構わないですよ。絶対、損はさせません」
郵便局の営業職員にそう言われて、ある高齢者は「郵便局にも職員さんにもお世話になっているしな」とお付き合いのつもりでかんぽ生命保険の保険に加入した。
言われたとおりに2年経ってから解約を申し出ると、「契約上、130万円しかお戻しできません」と言われてびっくり仰天する。
「加入時に私に『損はさせない』と言っていたじゃないか。私の200万円を返してほしい。2年前に来た職員さんに聞けばわかる」
自宅にきた営業職員にそう告げると、「前任者は他局へ異動しました。途中解約すると損失が出ることは前任者が契約時にお伝えしています」と、にわかには信じられない言葉が返ってくる。
揚げ句に、「ところで、その130万円は定額貯金として預けませんか」と勧められる。後任の職員に悪びれた様子はない。
保険を貯金と誤認させウソの報告書を作成
別の高齢者は郵便局員に「万が一の際、郵便貯金は口座を凍結されてしまいます。そうならないように今のうちに手続きをしませんか」と持ちかけられた。「自分が死んだ後のことを言っているのだな。死んですぐにでも、家族が貯金を引き出せる便利な世の中になったのか」と、言われるがままに「ここか」「これもか」と、局員が持参してきたタブレットの画面を訳もわからずに次々とタッチしていく。
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