日産ゴーン社長、「ロシアはシェア4割狙う」 通貨急落で守勢でも、事業展開には意欲的

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国内生産100万台の維持については「いっさい心配していない」と自信を見せたゴーン社長
 「いくつか壁にぶち当たっている市場もあるが、全体としては成長の年になった」――。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、インタビュー冒頭で今年をこう総括した。12月19日、ゴーン社長は東洋経済などの取材に応じた。日産は2014年度上期に世界で過去最高の258万台を販売。売上高は過去最高を更新し、営業利益は18%増の2619億円と4年振りの増加に転じている。
2011年に発表した6カ年の中期経営計画では16年度に世界シェア8%、営業利益8%の目標を掲げる。中期経営計画の折り返しである今年度上期の世界シェアは6%。需要が旺盛な新興国の攻略にも余念がなく、タイやインドネシア、ブラジルに新工場を次々に立ち上げている。
一方、足元では日産がビジネスの足場を築いているロシアの経済情勢が悪化。ルーブル急落が追い打ちをかけている。「成長の年」と位置付けた14年だが、今後の成長に向けた課題もある。さらなる成長に向けた戦略をどう描いているのか。ゴーン社長に聞いた。

 

――足元でルーブルが急落している。日産としてビジネスの影響をどう見ているのか。

日産、ルノーと(その二社が経営権を持つ)アフトワズの3社でロシア市場の33%を押さえており、最大の自動車グループになっている。朗報なのは、危機の中でもシェアを伸ばしていること。悪いニュースは、市場自体が10%ぐらい縮小していること。加えてルーブルが壊滅的な状況になっている。これは業界全体に影響している。

ロシアでは、自動車メーカーの生産は必ずしも現地化が進んでおらず、エンジンもトランスミッションもパーツも、自動車自体もヨーロッパや日本から輸入している。ルーブル安になると皆が血を流す、すなわち赤字を出すことになる。いくつかのメーカーはほぼ活動を止めているし、工場の撤退すら決めているところもある。このような状況では、事業計画が立てられない。

危機の最中でも伸ばす

われわれはロシアで最も生産の現地化が進んでいるメーカーなので、競合他社に比べるとルーブル安の影響は小さい。部品の現地化率が高い商品の販売は続けている。しかし、輸入部品の比率が大きいものは販売価格を上げている(12月からおよそ半分の車種で2%~8%の値上げ)。ルーブル下落が続けば、価格をさらに引き上げざるをえない。

一部の車種は状況が見極められるまで、受注を中断している。ロシアのビジネスは意欲的にやりたいと思っているが、自社を短期的な変動から守らないといけない。今しているのは必要最低限のこと。ポテンシャルがまだまだあり、常に大きなマーケットであり続ける。この危機はいずれ終わるわけで、マーケットが回復した時に備えてポジションを確立する必要がある。危機の最中でも可能な限りシェアを伸ばして、40%を獲得したい。

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