日産ゴーン社長、「ロシアはシェア4割狙う」 通貨急落で守勢でも、事業展開には意欲的

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――今年9月にはアンディー・パーマー副社長が英国の高級自動車メーカー、アストンマーチンのトップに転身した。今年に入り、日産の経営幹部の流出が相次いでいる

最近誰か辞めた人はいましたっけ(笑)。これは競争だ。

当社の(高級車ブランド)インフィニティ部門のトップに就任したローランド・クルーガー氏は、BMW出身だから採用したわけではない。素晴らしい経験やスキルがあり、優秀だから採用した。

自動車業界は人材の奪い合いが起きている。特に優秀なデザイナーは引っ張りだこだ。現代自動車は社内に人材がいないと判断し、極めて優秀なデザイナーを外部から登用した後、はるかにいい仕事をするようになった。自動車業界では優秀な役員だけでは不十分で、重要な職については卓越した人材が必要だ。

机上で卓越しているだけでなく、本当に証明された実績がなければならない。優秀な人材はそんじょそこらにいるわけでないし、置き換えが効かない。役員の流動は増えると思う。他社に出る人がいれば、外から採用することもある。

 FCVの量販には時間がかかる

――今年、トヨタ自動車が燃料電池車(FCV)を発売し、来年度にはホンダが発売する。日産は早ければ2017年に発売するという予定だが。

他社がゼロ・エミッション(走行中に二酸化炭素を全く排出しない)の車を市場に投入してくれることは、消費者の選択肢が増えるので、大変歓迎する。競争が激しくなればなるほどいいと思っている。

燃料電池車は素晴らしい技術だが、現時点では準備ができた技術だとは思っていない。コストがあまりにも高過ぎるし、インフラ整備もほとんどない。電気自動車でさえ、これだけ問題が山積している。充電器の不足が問題になっているが、水素ステーションは全然様相が違う。

実際に量販できるにはもう少し時間がかかる。「量販」の意味は年間で500台や1千台ではなく10万台ぐらい。今、グローバルで8400万台の自動車の需要があり、年間100台とか500台の販売ではテストに過ぎない。その点、電気自動車は量販に近づきつつある。

――タカタ製のエアバッグのリコール問題が拡大している。自動車メーカーとして必要な対応をどう考えているのか。

タカタの対応についてはコメントを差し控えたい。あまりにも深刻な状況で、業界全体の問題である。まずは私たちのお客様を守ることが大事だ。そのために(米国家道路交通安全局などの)規制当局に全面的に協力し、デイリーベースで情報を提供している。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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