日本人には「一党支配体制」が心地いい?

2度の選挙で昔の状態に後退した懸念

現在、私が懸念しているのは、過去2回の総選挙を経て、過去のような政権交代のない1党支配体制、もしくは1つの党と2分の1の党があるような状態に戻ったことを示しているのではないか、という点です。確信は持てませんが、ひょっとして日本の有権者は、それを心地よく感じるのかもしれません(Maybe Japanese voters are comfortable with that)。しかし、どのような場合であっても、1つの党だけが強い状態は、日本にとって健全ではありません。自民党自身にとっても、問題があります。真剣に批判を受けない党は、簡単に有権者とのつながりを失ってしまいうからです。

もし日本が一党支配体制へと後退するのであれば、極めて大きな問題だと思います。だからこそ、対抗できる力を持った野党の存在は極めて重要です。

――自民党の議席は少し減りました。これに、何か意味はあるでしょうか。

首相は当初から目標議席を低く設定しました。従って、結果は悪く映らないでしょう。衆議院の全議席に占める割合としては、自民党は61.5%で選挙戦に入りましたが、選挙が終わってみると、61%となりました。衆議院の議員定数が0増5減で475議席にまで減ったことを考慮すると、自民党は衆院の議席は0.5%しか減らしていないことになります。全般的には、連立政権は衆議院で簡単に3分の2の圧倒的多数を維持したということです。

――公明党の議席増により、連立政権の運営は複雑になるでしょうか。

少しは複雑になると思います。自民党は、公明党が候補者を擁立していない選挙区でも公明党の組織票に頼っています。その依存度がどの程度なのかを計ることは難しいですが、公明党は、集団的自衛権や原発再稼働など、安倍首相にとって特に重要な問題において、思いとどまらせることは可能でしょう。首相は、特に集団的自衛権や憲法9条の解釈変更などでは、より慎重に事を進めることになるでしょう。このことは、首相が取り組まなければならない複雑な現実を具体的に表しています。

日本の有権者はバランスが取れている

――野党が苦戦しました。

次世代の党は石原慎太郎氏と田母神俊雄氏は議席を得られず、当選したのは2人だけです。民主党は、海江田万里代表が落選しましたが、大敗した訳ではありません。このことは、日本の有権者が右傾化しているわけではないということを示しています。ましてや極右化しているわけでもありません。有権者は賢明であり、バランスが取れていると思います。

常に課題があるのは、民主党です。同党は共通の核心的アイデンティティを持ったことは1度もありません。この党は中道派と左派から構成されており、結局上手く1つにまとまったことはないのです。いい指導者にも恵まれてきませんでした。民主党はある意味、次期代表として、いわば安倍首相のような人物を見つけなければなりません。つまり、首尾一貫していて、大胆なビジョンをはっきりと提示できる人です。「大胆さ」は、「正しい」や「現実的」よりも、重要なのです。

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