進むも退くも地獄、追い込まれる黒田日銀 2015年、日銀は「アウェイ」の戦いに

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一方、原油はどこかでまもなく下げ止まると予想するが、この予想が外れたとしても、大きな影響はないだろう。金融市場は落ち着きを取り戻すだろう。ただし、急回復もない。いったん手じまいということが起きているだけであるが、一方、ここから、もう一度派手にリスクテイク、という流れにもなりにくい。これまで良すぎたから、しばらくは地味ではないか。

しかし、12月17日午後(日本時間は18日早朝)の米国株は上昇した。続く18日も続伸した。FOMCがあり、米国中央銀行FEDの金融政策の変更なしが発表されたからだ。声明文の文言は変わったが、予想通りであり、また、数か月(今後数回のFOMCでは)は、金利引き上げはないとイエレンが記者会見で明言したからだ。

私は、イエレンFRB議長の記者会見をライブで見た。FEDは日銀と違って、いつでも記者会見をするわけではないので、貴重な映像だったが、イエレンは大分自信をつけてきたように見えた。記者会見と市場を支配したバーナンキとは違うが、それでもそれなりに主導権を持ってきた。これが、金融政策において最も重要なことなのだ。

岐路に立たされた日銀

一方、今後の日本の中央銀行、日銀の金融政策が、日本の金融市場、日本経済の運命を決める。2015年および2016年は、すべては日銀にかかってくるだろう。

日銀は岐路に立たされている。一見、黒田総裁は、記者会見も市場も支配している。10月31日の追加金融緩和でも、投資家の度肝を抜き、市場は混乱しつつも、狂喜乱舞し、株価は急騰したのだ。ただし、それよりも大きく動いた、あるいは、持続的に動き続けたのは為替市場で、円安が急激に進行し、一時1ドル121円台まであった。

ただ、このコラムでも指摘したように、記者会見には変化が見られた。ある種、記者たちににこやかに丁寧に答えながら、内容的には見下しているともいえるような、黒田総裁による記者会見の知的支配という雰囲気が消失していた。記者たちは、疑問を素直にぶつけ続けた。流れは変わったのである。

実際、これまで、アベノミクスを、空気を読んで支持していた(あるいは黙認していた)エコノミスト、経済学者たちが、この追加緩和には疑問を呈したり、リスクを指摘したりし始めたのだ。いまや、極端なリフレ論者以外は、日銀の金融政策を全面的に支持しているのは、金融が分かっていない政治家のみとなった。

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