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トップ人材を招聘、アメとムチで論文競争 知的立国へと邁進するシンガポール

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「シンガポールはノーベル賞を取らせるために『研究投資』をしているのではない」 シンガポールという国家における教育・研究のありようを端的に示すものとして、時に称賛、時に皮肉を込め、シンガポールで人々が口にする言葉だ。実際、シンガポール人のノーベル賞受賞者は過去に1人も出ていない。この国で、研究とは投資を意味するのだ。

一切の天然資源を持たず、交易と産業によって発展を遂げてきた人口500万人のシンガポールは、2010年、国民1人当たりのGDPが日本を超え4万3000ドルに達した。同年の経済成長率は14.7%。それでも、国家の指導者たちがつねに国民に対し、「how to survive」(いかに生き残っていくか)と語りかけるお国柄だ。

「資源の乏しいシンガポールのような小国にとって、人材は決定的な要素といえる」。シンガポール建国の父、リー・クアンユーは回顧録の中でこう語った。人材は「最大の資源」として重視され、大学教育や研究も国家生存に役立つ人材養成の手段との位置づけだ。

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