有料会員限定

日本/現代にも受け継がれる右翼思想の根源とは 「日本は特別」と考える理由は天皇の存在

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小
2・26事件の背景には、近代化・工業化・都市化に対する農本主義的な反発があった(毎日新聞社/アフロ)

特集「ビジネスマンのための近現代史」の他の記事を読む

日本のナショナリズムを論じるとき、戦前も現在も無視できないのが「右翼」の存在である。

そもそも右翼とは何だろうか。保守と重なるところもある。が、同義ではあるまい。保守は現状を保ち守る。現状に不満を持つにしても、改革については漸進主義を採る。でも純粋な右翼はもっとラディカルである。究極的には大胆な革命を求める。その意味では左翼と同じだ。ただし左翼はそこで国際的に通用する理屈を考える。

しかし右翼は日本なら日本だけに通用する理屈や心情に立脚して「大和魂」といった特殊なものに価値を見いだす。では、日本の近代において右翼を特徴づけてきた特殊な考え方とは何か。主たるものとして次の五つを挙げたい。

①儒学的尊皇主義
②国学的日本主義
③アジア主義
④農本主義
⑤国民社会主義

①の儒学的尊皇主義は、水戸黄門こと徳川光圀に始まる水戸学の思想を一つの本山とし、その流れに吉田松陰らがいる。儒学は孔子の始めた古代中国の思想。皇帝は絶対の正義を具現せねばならず、皇帝に仕える臣民は皇帝に絶対の忠義を尽くさねばならぬと教える。もしも皇帝が不正に流れて正義を代表できなくなり、臣民もそれを補正できなくなったら、国家は滅び、王朝が交替する。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
ビジネスマンのための近現代史
共産主義はなぜ全世界に広がらなかったのか
「日本は特別」と考える理由は天皇の存在
亡国のポピュリズム、今よみがえる戦前の影
ワイマール共和国からナチズムへ転落のなぜ
反共からポピュリズムへ、支持集める国民戦線
内向きになるとき、国家は領土にしがみつく
大国に挟まれた韓国のナショナリズムと世界観
共産党一党独裁下の大衆扇動が招いた悲劇
中国の権力闘争は二千年来の歴史からの必然
米国/反権威としてのトランプ、米国の大衆性
勢いづくポピュリズムの対立軸を読み解く
▶▶Part2 近現代史が語る時代への教訓
国家、保護主義、ナショナリズムがわかる
産業革命、市民革命、国民国家、民法典が大事
ビジネスマンのための「なるほど歴史講座」
2世紀ぶりに世界の中心は欧米からアジアへ
▶▶Part1「いま」がわかる歴史の読み方
ナショナリズム、ポピュリズム、保護主義
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内