2017年、フランスは大統領選挙の年を迎える。保守陣営の共和党の予備選挙ではサルコジ元大統領が敗退、フィヨン元首相が候補に決まった。来年1月に予備選が実施される社会党では、同党出身のオランド大統領が立候補を断念した。また、既成政党の候補を相手にして、決選投票には右翼政党「国民戦線」(FN)の候補マリーヌ・ルペンの進出が確実視されている。フランスの右翼政党が戦後たどってきた不遇の時代を思えば、それは様変わりした光景である。
第2次世界大戦後、長らく右翼勢力にとっては試練の時代が続いた。大戦中の対独協力が非難され、政治的影響力は地に落ち、周辺的な政治勢力へと追いやられた。そのため、国民の利益とアイデンティティを守り、フランスの国際的地位の向上と国威の発揚というナショナリズムは、ドゴール大統領とドゴール主義政党によって追求された。
1970年前後は、右翼にとって新しい時代の始まりであった。極左運動の嵐が全国に吹き荒れ、ドゴールが政治舞台から去った。王党派、アルジェリア独立反対派、ヴィシー政権の指導者ペタン元帥支持派、カトリック伝統主義派などの右翼諸潮流は大同団結を図り、72年にFNを結成した。議会への進出を主目的とするFNの党首には、アルジェリア独立反対運動や反税運動であるプジャード運動で活躍し、最年少で国民議会議員に当選して名を馳せたジャン=マリー・ルペンが祭り上げられた。だが、結党から10年経っても、FNはマージナルな存在にとどまっていた。
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