米大統領選でトランプ当選が決まったとき、中国の「人民日報」系のタブロイド紙「環球時報」は「米国に文化大革命が起こった」との趣旨の社説を掲載した。この社説は、皮肉でも批判でもなく、中国人の偽らざる感情、率直な見方を表しているといってよいだろう。
トランプは大金持ちであるが、白人貧困層の味方であるように振る舞い、当選を果たした。彼の発言の中に「アメリカを再び偉大な国に」とのフレーズがあるが、これは中国の習近平・共産党総書記が声高に叫ぶ「中華民族の偉大な復興」と重なる。その背景にある、国粋主義的で自民族中心的な性質もよく似ている。
習は、建国の父であり文化大革命を主導した毛沢東を精神的、思想的な師としている。環球時報は批判的な文脈でなく、トランプ、習、毛の共通性を感じ取ったのであろう。大衆を味方につけ、扇動することを通じて、自らの政治的立場を強くするという点で3人は似ている。
毛沢東という政治家は、大衆を扇動することにかけては天才的な才能を発揮した。そして、毛によって発動された文化大革命(1966〜76年)は、中国に多大な災禍をもたらした。
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