歴史が文字による記録として残されるようになって5500年。そこから見ると、近現代史は世界史の中でも非常にユニークな時代だと言えるでしょう。それは、産業革命と国民国家という人類史上最大のイノベーションが、従前にはなかったのに、それ以降は歴史の重要なファクターになるからです。
まず、産業革命から見ていきましょう。英国から始まった産業革命は、それまでの人間の生活を大きく変えることになりました。農業社会から工業社会にシフトすることによって、天候に左右されることがなくなったのです。
ところで文明のきっかけは、人間の交易(貿易)でした。普通の動物の生活は「生態系」の中で営まれています。生態系とは、地理的にまとまっている一つの地域と考えていいでしょう。人が住み、距離的にも移動しやすく、気候もある程度一定な地域のことです。たとえば、中国で言えば黄河や長江の流域がおのおの一つの生態系です。
日本の古代史を振り返ると、最初に北九州地域で、稲作など農業における生産性が急速に高まりました。それは、温暖な地域で作物も相対的によく育つ土地柄に加え、鉄器という文明の利器がもたらされたためです。これは、船で十分に行き来できる距離にある朝鮮半島から、鉄や鉄器を輸入したことが大きな理由です。
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