英『エコノミスト』誌が、2010年と15年に行った興味深い調査がある。その名も「死の質」ランキングだ。

高齢者が尊厳を保ち、自立を支えられて住み慣れた地域で暮らすためには、人生最終段階の安心・安全が欠かせない。病気だけにとらわれない全人的・積極的な医療・看護・介護を、「人生最終段階のケア」と呼ぶ。死の質ランキングは、この人生最終段階のケアの質、利用しやすさ、環境、費用といった条件をベースに集計されている。
10年のランキングでは英国1位、日本23位。15年も英国が1位だった。日本は06年のがん対策基本法など制度面の整備が評価されて14位に向上したが、がん以外の疾患で緩和ケアが受けづらいこと、精神的な支援を行う心理学の専門家が不足していること、鎮痛剤使用に消極的であることを指摘された。
2回連続でトップに輝いた英国は、近代ホスピス発祥の地。長い緩和ケアの歴史と、1997年以降のブレア政権下での医療制度改革による医療の質改善が、死の質第1位の原動力だといえる。
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