OECD(経済協力開発機構)の国際比較を見ると、日本の医療が過剰であることは明らかだ。人口当たり病床数はOECD平均の3倍弱、受診数は同2倍で、急性期医療の平均在院日数は同3倍。CT(コンピュータ断層撮影)など高額な医療機器も、OECD平均と比べて3〜4倍多い。
病床が多いと、その分入院医療費がかさむ。よく入院するだけでなく、長い期間病院にいるので、それだけ医療資源を使う。受診数が多いことにより、1人の患者に割くコミュニケーションの時間も減る。結局検査に頼ることになる。悪循環だ。農業に例えると粗放農業。患者を治すのに、たくさんのベッドを使って治療している。効率が悪い。
ただ、日本の医療費は経済の伸びからすると、そうとう抑えられている。低い経済成長率に見合う形で政府がうまく医療費をコントロールしているといっていい。だが、医療費40兆円は予防ではなく、すべて治療に使われている。予防におカネを振り分ける必要がある。そうしなければ、日本の医療はパンクする。
オプジーボのような高額な薬剤が出てくると、財政的には耐えきれないだろう。財政当局としては当然、適用を制限したい。しかしそうなると、本当に必要な人が医療を受けられなくなる。そういう事態は今まで存在しなかった。
高額な薬剤が出てくるのにはそれなりの理由がある。もっと安く供給してくれるのが望ましいが、それにも限度がある。コストダウンだけで解決するのは難しい。結局は医療の優先順位をつけることになる。
つまり本当に必要な医療は何かということだ。本当に必要なのは高い薬を使わざるをえないような医療だが、実際はそうでない医療に多くのおカネがかかっている。傷病別に見ると、入院患者数は精神と循環器だけで約4割を占める。精神疾患にはいろいろな問題があるので一概にいえないが、世界の国々で傷病のトップに来ることはない。日本独特だ。
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