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人工透析患者をいつまで救うか、という大難題 65歳以上の患者に年間1.6兆円の医療費

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腎臓の機能が徐々に低下し、回復が見込めない場合(進行慢性腎不全)、腎機能を代替する療法としては、①保存療法(薬剤・食事)、②透析療法、③腎移植の三つがある。

日本では、②の透析療法が開始される新規患者数が近年、年間約3万人に達している。③腎移植も漸増しているが、腎臓の提供が少ないこともあり、直近(2014年)では年間1598件(血縁者などから臓器の提供を受ける生体腎移植は1471件、心停止後または脳死後の献腎移植は心停止42件、脳死85件)にとどまる。患者の年齢を考慮に入れないとしても、すべての患者に腎移植を行うことは不可能で、慢性腎不全患者は、①保存療法か、②透析療法に頼らざるをえない。

14年末時点の全透析患者数は、日本透析医学会の統計資料によると32万0448人であり、16年8月現在では約33万人には達していると予想される(うち97%は維持血液透析、3%が腹膜透析)。

1人の透析患者の年間医療費は約500万円なので、患者33万人にかかわる総費用は1兆6500億円と概算される。日本人1人の年間医療費が約31.5万円、65歳以上の高齢者でも約70万円であることをかんがみると、透析医療は間違いなく高額医療だといわざるをえない。透析(人工腎)治療に「治癒」はなく、長期間継続すること、使い捨て部分の多い高価な器材を使うことなどが、治療費のかさむ要因である。

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