高齢者はどこで、どのように最期を迎えているのか。日本人の「死に際」の現実。
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東京都墨田区にある東京都立墨東病院。生命に危機が及ぶ重篤な患者を受け入れる救命救急センターを備え、年間3000人弱と、都内随一の受け入れ数を誇る。
夜の8時を過ぎても、救命救急センターには、まぶしいほどの明かりが煌々(こうこう)と灯っていた。
「今日は比較的、若いな」。救急搬送されてきた患者の概況が記されたホワイトボードを横目に、救命救急センター部長の濱邊祐一医師がつぶやく。「60歳、70歳、85歳。これでもずいぶん若いよ。時期によっては90代の方もいるからね」。
白い廊下の両側には24床のベッドがずらりと並んでいる。その一角から、にぎやかな声が聞こえた。数日前にマンションのベランダから転落したものの、奇跡的に軽傷で済んだという男児だ。ベッドの上に絵本を広げ、看護師と遊んでいる。
だが、廊下を挟んだ反対側は打って変わって静まり返っている。人工呼吸器や人工透析機器、ありとあらゆる装置につながれ横たわる高齢の患者たちは、ピクリとも動かない。ピンポーン、ピンポーンと、装置の音が、フロアのどこかでひっきりなしに鳴り続けるのが聞こえるだけだ。「救急搬送がないときは比較的、静かなんですよ。機械ばかりで、まるで工場みたいだ」。
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