「マネジメントの父」であるP・F・ドラッカーと、松下幸之助に重要な共通項があると気づいたのは、一人の経営者から届いた原稿がきっかけだった。
16年前の夏、PHP研究所刊のある雑誌に経営理念をテーマに寄せられたその原稿は、次のように書きだされていた。
「私には二人の師匠がいます。一人は1894年11月27日生まれの経営者であり、もう一人は1909年11月19日生まれの学者です。私にとって一人は経営者の中の経営者であり、もう一人は学者の中の学者です。この二人はどんな出来の悪い生徒でも隠れた長所(その生徒すらも把握していない)を探し出す最高の教師だと考えます。(中略)その二人とは松下幸之助とP・F・ドラッカーです」
この筆者は、世間の注目を集め始めていたファーストリテイリングの柳井正社長(現在は会長兼務)である。氏は二人の人物像を「松下幸之助は商人であり、現実を直視した理想主義者」「ドラッカーは自らを社会生態学者と称し、あるべき企業や経営を構造的に解明し、未来を予見した」と表現し、「両人とも反権威、反権力、反アカデミズムで何よりも人間に興味がありました。この一見対照的に見える二人に私は大いなる類似点と畏敬の念を感じます」と記した。
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