押し寄せる取材の波、「生意気」とお叱り 『もしドラ』の著者が明かす②

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しかし、やがて分かったのは、ぼくの周囲の人たちは、これまでそうした取材をあまり経験したことがない――ということだった。だからなるべく常識的に、穏便にこなそうとしていたのである。

秋元康さんの場合

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それに対し、ぼくは長年秋元康さんのアシスタントをしていた経験があった。そうして、門前の小僧習わぬ経を読むで、秋元さんがインタビューに答える姿をずっと見ていたのである。

 そこで記者たちは、秋元さんが突拍子もないことを言えば言うほど喜んだ。その方が、記事の見出しを作りやすいからだ。人目を引きやすいからである。例えば、AKB48を作ったきっかけを問われると、「最初はショーパブを作ろうと思っていたんです」と正直に答えていた。これは、普通なら「イメージが悪い」とあえて隠すようなことだ。しかし秋元さんは、そういうふうに人目を引くようなことを言った方が、記者も喜んでくれ、いい記事になるというのを経験的に知っていた。

 実際、そういうことを言えば言うほど、その記事は面白くなり、結果的に多くの人に読んでもらえた。だから、生意気に思われようとなんだろうと、面白いことを言うに越したことはなかったのだ。

 それを分かっていたから、ぼくもそこで突拍子もないこともあえて言うことができた。しかし、ぼく自身にそうした経験がなかったら、きっと周囲の人の言う通り、穏便に常識的な答えをくり返していただろう。そうしていたら、売上げに影響したかどうかは分からないが、少なくとも記事の扱いはもう少し小さくなったはずだ。

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