ユダヤ教の伝統からキリスト教が生まれた
紀元1世紀、ローマ帝国支配下のパレスチナ地方。ヤーウェを唯一の神と仰ぐユダヤ人は、長期にわたって他民族に支配される苦境の中、祭儀とモーセの律法を守りつつ、メシア(救世主)の到来を切望していた。
そこに登場したのがナザレのイエスである。形式的な律法主義を批判し、神の愛による救済と隣人愛を説いた。だが3年ほどの宣教の後、ローマ帝国への反逆者として処刑されてしまう。イエスを受け入れなかったユダヤ人たちは、ユダヤ教徒として、今もメシアの到来を待ち続けている。
一方、イエスの弟子たちは、十字架の上で死んだイエスが3日目に復活したことを信じ、彼こそが「キリスト」(メシアのギリシャ語訳)だと証言した。
彼らのグループは最初、ユダヤ教の中のナザレ派、イエス派と見なされていたが、ユダヤ教との差違が明確になるにつれ、キリスト者(クリスチャン、イエスを救い主と信じる者)と呼ばれるようになった。キリスト教の誕生である。ペトロを筆頭とする十二使徒、そしてパウロほか弟子たちの活躍により、教えは地中海一帯に広まるに至った。
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