本年6月、EU(欧州連合)離脱の賛否を問う英国の国民投票で離脱派が勝利したことは、世界を驚かせた。
ユーロ危機、ウクライナ危機、難民危機など危機が相次ぐ中、今次の英国のEU離脱は、欧州の政治情勢の混迷にいっそう拍車をかけるだろう。すでに欧州各国では、ポピュリズム政党が跋扈(ばっこ)し、既存の民主政治のあり方が危機にさらされている。
そうした中、世界が注視しているのが、今やEUの主導国となったドイツの政治の行方である。ここでドイツ政治が揺らぐことがあれば(たとえば極右の大躍進など)、EUは本当に存続の危機に陥りかねない。
しかし、それでもドイツの民主政治は、今後もある程度は安定し続けるだろうと筆者は考えている。
その理由の一つは、戦後ドイツの政治制度が、歴史的経緯から、安定を極めて重視したものとなっていることである。
実際、ドイツ連邦共和国(1949年に成立した西ドイツおよび90年東西統一以後のドイツ)の首相は、初代のコンラート・アデナウアー(在任14年)から、わずか8人にすぎない。現在のアンゲラ・メルケルは今年で在任11年であり、第6代のヘルムート・コールに至っては16年にわたって首相を務めた。これは、21世紀だけでもすでに8人の首相がいる日本とは対照的だろう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら