吉野家社長「牛丼値上げのすべてを話そう」 独占インタビューでわかった値上げの舞台裏

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吉野家はこの10年間苦しい戦いを強いられたが、2003年のBSEが起こらなくても、緩やかに同じ状態に陥ったのではないかと思う。勝ちパターンが使えなくなっているわけだから。つまり、われわれ自身で新しい飲食業のビジネスモデルを作っていかなくてはいけない。

飲食業を再定義する

河村泰貴(かわむら・やすたか)●1968年生まれ。93年に吉野家ディー・アンド・シー(現吉野家ホールディングス)入社。2004年にうどんチェーン「はなまる」へ出向。07年はなまる社長。12年に吉野家ホールディングス社長。2014年9月から事業会社・吉野家の社長を兼任

それを社内では「飲食業を再定義する」とか「再発明する」と言っている。この先の10年、2020年代に向けて、それをやったと言われるようにしたい。

日本の外食業界をつくった先人たち。わが社の松田瑞穂、マクドナルドの藤田田さんもそうかもしれない。実はこういう方々が日本の飲食業に従事する600万人ともいわれる人たちを食わせ続けてきた。

ただ、米国から持ち込んで日本流に改善したチェーンレストランの仕組みを、この先もずっと正確にやっても儲からない。もう一度、彼らと同じぐらいのイノベーションを起こさないと、この先はないと思う。

荒唐無稽に聞こえるかもしれないが、極端な例を言うと「牛丼を無料で提供して、違うところでおカネを儲ける」みたいなこともありえるかもしれない。先日もある農業系のアントレプレナーたちと話し合ったが、みんな「アグリビジネス×IT」みたいな考え方を持っている。むしろ僕らの業界は遅れている。ウチの業界でもそういう発想があっていい。

――食材価格高騰を理由に先陣を切って大幅値上げに踏み切ったという点について、改めてどう受け止めていますか。

2年前にはなまるから吉野家ホールディングスに着任して、そして9月から吉野家も担当することになって、世の中の人が吉野家に期待することの責任の重さを日々感じている。今回、価格を上げさせていただいたのは心苦しい思いでいっぱい。

でも、ウチだけじゃないんですよ、ビーフを扱っているところは。みんな大変だと思う。じゃあ、どこが矢面に立つかとなると、ウチだろうと。そういう責任が吉野家にはあるんじゃないかと。それはもしかしたら、前任の安部の背中から学んだことかもしれない。

(撮影:尾形文繁)

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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