物流やヘルスケアに殺到、REIT沸騰どこまで アベノミクスの恩恵株はだけではない

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さらに今後は日銀も、主要な買い主体として存在感を増していく。だが、その影響を考えるうえで注意すべきは、「5%ルール」の壁である。

REITの個別銘柄を保有する際、日銀は発行済み投資口数の5%以内に抑えるガイドラインを定めている。日銀はこれまで、時価総額が大きく信用度が高い優良銘柄を先行して購入してきた。みずほ証券の石澤卓志・上席研究員の試算によると、すでに日銀の保有率が4%台に達している、と推定される銘柄が10以上。これらは日銀の追加買いが期待しづらい。

上値は2000ポイント程度か

また、REIT全体を見ても、平均分配金利回り3.1%は、ミニバブル時の水準に接近している。株式投資でも、配当利回り3%超の個別銘柄は多数あり、REIT投資への魅力は薄れつつある。

REIT市場に詳しい関大介・アイビー総研代表取締役は、「緩和マネーがじわじわとREIT指数を押し上げるが、上値メドは15年3月末にかけて2000ポイント程度」と見る。

REITが上昇トレンドを維持するには、空室率の低下などによる賃料の上昇によって、分配金が増えていくことが重要だ。REITが組み入れている物件のうち5割近くを占めるオフィスの場合、東京都心5区の平均空室率は、10月時点で5.6%と前年同月比1.96ポイント低下した(三鬼商事調べ)。

空室率が低下すると、賃料上昇が期待できる。だが、日本では欧米と違って既存テナントとの長期的な関係が重視され、オーナーが大幅な賃料上昇を提示する慣行がない。「現在の市況であれば、オフィス中心のポートフォリオ全体で見込める賃料上昇率は、年間2%台程度にとどまる」と石澤氏は想定している。

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