物流やヘルスケアに殺到、REIT沸騰どこまで アベノミクスの恩恵株はだけではない

拡大
縮小

一方、REITによる新規取得が急増し、注目度が高まっているのが物流施設だ。みずほ証券によると、11年に140億円だった取得額は、13年以降に急拡大。13年1月から今年10月までの取得総額は9847億円と、アセット別では、オフィス(同1兆2518億円)に次ぐ規模に膨らんでいる。ネットショッピングの隆盛で需要が伸びていることが背景にある。

ホテル物件の取得も増えている。今年10月の免税対象品の拡充や、20年の東京五輪を控え、訪日外国人数は増加基調。14年のREITによるホテル取得額は、10月までに830億円と、13年度の年間584億円を超過した。

 国策に売りなし?

有料老人ホームなどシニア関連施設に日本で初めて特化し、今年11月5日に上場した日本ヘルスケア投資法人も投資家の期待を集めている。1口当たり投資価格は、公開価格の15万円に対して、足元では6割以上高い20万円台半ばの水準で推移している。

シニア関連REITの上場には政府の後押しもあった。介護施設などの運営業者が物件を保有し続けていると、新しい施設を造ろうとしても、資金不足に陥るケースがある。REITに物件を売却すれば、その資金を次の物件新設に回すことができる。

ただ、シニア関連業界は、需要増が見込まれる一方で、介護福祉士など職員確保がままならないというボトルネックが供給側にある。そのため、「市場が期待しているほど物件組み入れが進まないリスクがある」と関氏は言う。

とはいえ、相場の世界には「国策に売りなし」という格言もある。政府が力を入れる観光やシニアに関連するREITが、しばらく注目されるのは間違いない。

(「週刊東洋経済」12月20日号(12月15日発売)核心リポート01を転載)

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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