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経済学は「分配」をどう考えてきたのか 経済学説はどのように変化してきたか

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ピケティの功績の一つは、富や所得という「分配」の問題を、経済学のメインストリームに押し戻す機運を作ったことだ。逆に言えば、これまで過去1世紀近くにわたり、経済学は分配について多くを語ってこなかった。

18世紀に重農主義の経済学者フランソワ・ケネーらが現在の国民所得に相当する概念を開拓したあたりから、分配問題は経済学の主要な部分を占めてきた。最初の重要人物が古典派のデイビッド・リカードだ。アダム・スミスの考え方を精緻な経済学へと昇華させたリカードだが、その目的意識は明確だった。

友人で『人口論』の著者でもあるロバート・マルサスに次のような手紙を書いている。「経済学は富の性質と原因に関する研究だとあなたはお考えですが、私に言わせれば経済学は、産業の生産物がその生産にともに当たった諸階級の間にいかに分配されるか、その分配を決定する法則に関する研究にほかなりません」。

リカードの念頭にあったのは、資本主義が自らの分配の法則を推し進めることにより、社会が最終的にどのようになるのかという問題意識だ。その結論は、当時世間から「憂鬱な科学」と呼ばれる理由になった。すなわち「最終的な定常状態では、資本家も労働者も貧しくなり、ただ地主だけが豊かになる」。その裏付けとなった理論モデルは現在でも応用されるほど精巧だったが、工業化と技術革新の進展によって“予言”が実現することはなかった。

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