幸福とは何によって決まるのか。それは人類誕生以来の深遠な問題だ。
通説的な経済学では「幸福はカネで買える」と考えてきた。理由は単純で、より多くのおカネを持っていれば、より多くの望むものを手に入れることができるからだ。
GDP(国内総生産)の最大化こそが国民の幸福増進につながる、という理屈もそこから来ている。主観的な幸福度を聞くアンケートでも、「所得が多い人ほど幸福度が高い」結果となっており、実証面でも裏付けがとれていると思われてきた。
しかし最近、より詳細な研究が進むにつれて「幸福はカネで買える」説は、経済学者の間でも時代遅れになりつつある。
理由の一つは幸福度を国際比較したときに生じる矛盾だ。幸福度がおカネで決まるのであれば、当然、所得が高い国に住んでいる国民の幸福度は、所得の低い国の国民より高いはずだ。しかし、実際は、国の貧富はそれほど影響を持たず、特に豊かな国では幸福度が頭打ちになっていることがわかる。世界各国の1人当たりGDPと幸福度をグラフ化した図表1を見ても、これは確認できる。
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