アベノミクスの下、大胆な金融緩和と積極的財政政策などによって適度なインフレを目指す「リフレーション政策」が展開されている。戦前、本誌主幹だった石橋湛山は同様の政策を強く主張し、リフレ派の元祖とも称されてきた。第一線の石橋湛山研究者が当時の時代背景や湛山の思想を拠り所に、その実像に迫った。
安倍晋三内閣の経済政策の是非を問う昨年末の衆議院総選挙は与党の大勝で終わり、今後の日本経済は継続してアベノミクスの方向に進むことが決定的となった。
大胆な金融緩和、機動的な財政支出、民間投資を喚起する成長戦略がアベノミクスの「3本の矢」といわれ、無制限な量的金融緩和と大規模な公共投資で景気を刺激することが政策の主眼である。この政策は積極的なリフレーション政策と評価され、石橋湛山時代の積極財政論と対比する論も見られる。
確かにアベノミクスは、金融緩和、公債発行による景気刺激の点で、石橋積極財政論と原理的、方法的に似通った点が認められる。一方、時代背景と経済環境が違うので同じ土俵では論評できない難点もある。
湛山の経済学は恐慌対策(昭和恐慌)、混乱対策(敗戦初期)からスタートし、資金繰りがうまくいかず一時的に大量失業、生産縮小となった非正常な経済状況に対する応急手当ての性質を持つ。現在のような正常状態下の慢性的デフレ現象と違い、政策の内容、方法も違う。
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