有料会員限定

ピケティの処方箋は可能か 世界的な累進資本課税をめぐる異論、反論

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
米国議会で国際租税回避問題について証言するアップル首脳陣(Getty Images)

特集「ピケティで始める経済学」の他の記事を読む

『21世紀の資本』は、その処方箋についても大論争が巻き起こっている。格差拡大、富の集中が避けられない資本主義の運命に対し、世界的な資本課税が必要だと主張しているからだ。

論争のポイントは二つある。一つは資本課税を導入すべきか、もう一つは、仮に導入しても実効性のある制度になるかだ。これらを見ていく前に、まずは「ピケティ税」がどんなものなのかを確認しておこう。

図表1を見てほしい。まず、課税は株・債券や不動産などあらゆる個人保有の資産が対象だ。ただし総資産ではない。そこから負債を除いた純資産(資本)が課税対象となる。表のようにピケティ案では100万ユーロ(約1.35億円)未満への税率はゼロなので、大多数の人に課税は発生しない。

[図表1]
拡大する

ピケティは次のようにも説明する。「5億ユーロのアパートを買ったとしても4.9億ユーロのローンがあるなら、課税対象の純資産は0.1億ユーロとかなり小さい。私はこうした場合は税を取らないことを提案している。新たな資産を持とうという人には減税、すでに蓄積された資産には増税ということになる」。

関連記事
トピックボードAD