『21世紀の資本』は、その処方箋についても大論争が巻き起こっている。格差拡大、富の集中が避けられない資本主義の運命に対し、世界的な資本課税が必要だと主張しているからだ。
論争のポイントは二つある。一つは資本課税を導入すべきか、もう一つは、仮に導入しても実効性のある制度になるかだ。これらを見ていく前に、まずは「ピケティ税」がどんなものなのかを確認しておこう。
図表1を見てほしい。まず、課税は株・債券や不動産などあらゆる個人保有の資産が対象だ。ただし総資産ではない。そこから負債を除いた純資産(資本)が課税対象となる。表のようにピケティ案では100万ユーロ(約1.35億円)未満への税率はゼロなので、大多数の人に課税は発生しない。
ピケティは次のようにも説明する。「5億ユーロのアパートを買ったとしても4.9億ユーロのローンがあるなら、課税対象の純資産は0.1億ユーロとかなり小さい。私はこうした場合は税を取らないことを提案している。新たな資産を持とうという人には減税、すでに蓄積された資産には増税ということになる」。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら