マイクロクレジットは「金融の革命」と呼ばれている。不可能といわれてきた貧困層に対する融資を可能としたからだ。
貧困層は稼得能力が低いうえに担保となる資産がないので、踏み倒される確率が高い。かといって低額融資なのに個々人に細かく審査や取り立てをするのはコストに見合わない。貧困層にカネを貸すのは、取り立てには暴力も辞さない地場の金貸しぐらいだった。
そこに現れたのがバングラデシュで創設されたグラミン銀行だ。融資対象となるのは個人ではなくグループ。人数は5人前後。グループは連帯責任を負っていて、仮に誰かが踏み倒したらほかのメンバーがその分を肩代わりする。融資額は1人数千円から数万円程度の少額で、返済は融資の翌週から毎週ある集会で行われる。完済までの期間は1年と厳格に決まっている(図表1)。
貸し手側はグループ単位の管理で済むようになり、借り手側はほかのメンバーの踏み倒しが自分の不利益になるため相互監視をするようになる。結果、貸し手の取り立てコストを抑えつつ、比較的低い利子と90%以上という極めて高い返済率を実現した。グラミン銀行の成功を受け、世界中でその仕組みが急速に拡大。それらの総称としてマイクロクレジットという言葉が使われている。グラミン銀行創設者のムハマド・ユヌス氏は2006年にノーベル平和賞を受賞。マイクロクレジットの効果は疑いないと思われていた。
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