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『ハウス・オブ・デット』が警告する格差と負債 [INTERVIEW] ポスト「ピケティ本」の最右翼

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アティフ・ミアン 米プリンストン大学経済学部教授

Atif Mian●1975年生まれ。マサチューセッツ工科大学で経済学博士号取得。金融とマクロ経済のつながりが主な研究対象。責任抵当の分担(SRM)のアイデアについて米国議会で証言を行った。(撮影:Laura Pedrick)

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中低所得層の負債増加が経済全体をもろくしている

2014年、『21世紀の資本』と並んで米国で注目を浴びた『ハウス・オブ・デット』。格差拡大で広がる中低所得層の借金増加が経済の不安定化につながると説く。

大不況前の家計負債の急増について新たなデータを収集し、検証した。日本語版が今年5月に公刊予定

──著書『ハウス・オブ・デット』では、「08年に始まった大不況の本質は家計収入に対する負債の割合が急増したことに直接起因する」と論じていますね。

家計における負債の割合は、00年代に前例のない水準にまで上昇した。00年からの6年間で約2倍になった。米国で景気悪化が始まった頃を見てみると、消費と雇用が大幅に落ち込んだ時期と、家計の借金が最も多かった時期とがぴったり合うことがわかる。これは、国ごとの比較でも同じことがいえる。

──家計の借金が増えているのは長年にわたって指摘されてきたことですが、1930年代以来、ここまで不況がひどくなることはありませんでした。

07年までにGDP(国内総生産)に対する家計の借金の割合は過去100年間で最も高くなり、その借金による破産が金融危機を引き起こした。異なるタイプの不況を比較すれば、金融危機による不況は通常の不況よりはるかに深刻であることがわかると思う。さらに、個人負債の急拡大が先立った金融危機は、ほかのタイプの金融危機よりも不況が一層深刻になる。対照的に、金融危機による不況でも家計の借金がそれほど多くない場合は通常の不況とあまり変わらない。また金融危機が起きていなくとも、個人負債が大きくなると不況は深刻化する。

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