世界的な論争を巻き起こしたピケティ。『21世紀の資本』のどこが争点となっているのか。批判者の声に耳を傾けてみよう。
アラン・グリーンスパン
元米連邦準備制度理事会議長
システムが非常に複雑化しているとはいえ、生活レベルを向上させるのは経済に占める資産や富のシェアが拡大したときだ。(米国外交評議会講演にて〈2014年5月7日〉)
【解説】「マエストロ」がピケティにかみついた。米外交評議会の講演で「ピケティが世界的な資本課税を提言していることについてのあなたの見方は?」との問いに、即座に「それは資本主義ではない」と拒否反応。所得格差が緩やかに広がっているのは事実だが、急速な技術変化にうまくついていけない人たちが出ているためだとの見解を示した。
米国のリバタリアニズム(自由至上主義)の思想家アイン・ランドを信奉するグリーンスパン。やはり、ピケティとは肌が合わないらしい。
タイラー・コーエン
ジョージメイソン大学教授
ピケティは累進的な資本課税は労働意欲に打撃を与えないと主張している。しかし、そうした課税は長期的には人的資本と新ビジネス創出への投資を減少させる。資本収益に関する彼の議論が示唆する重要な意味も認識していないようだ。ピケティが主張するように収益の減少を回避できるほど資本が機動的でダイナミックなら、富裕層の富は課税を回避できるだろう。政府は富裕層を締め上げてもうまくいかないと考え、税収の対象を別のところに求めなくてはならなくなる。(米『フォーリンアフェアーズ』2014年5・6月号)
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら