サンパウロのタクシー運転手は今、空前の好景気を謳歌している。「街中を流していてもかなり稼げるが、何といっても空港で待っているのがいちばんだね。国内線空港だと月に1万レアル(50万円)、国際空港なら1・5万レアル(75万円)稼ぐ仲間もいるよ」。地元運転手のパウロ氏は誇らしげに語る。
国際空港から一路米国へ。歴史的なドル安レアル高を背景に、米国各地にはブラジル人旅行者があふれている。2010年にニューヨークを訪れたブラジル人旅行者数は前年比3割も増えた。あるブラジル人男性は、赤ん坊のためにマイアミまで飛び、哺乳瓶からチャイルドシートまで、あらゆる乳児用品を買い込んだという。米高級化粧品メーカーのエスティローダーの空港免税店では、ブラジル人客増を見込んで、ポルトガル語に堪能な店員を次々に採用している。国内市場では吸収しきれなくなったブラジル国民の爆発的な消費需要は、すでに海外へとあふれ出している。
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